再生医療等安全性確保法の届出区分、実際にクリニックで確認する方法
『再生医療』を謳う施術が、本当に国へ届出されたものかどうかは、実は誰でも公的なデータベースで検索できる。具体的な確認手順を解説する。
この記事の要点
- ●「再生医療」を謳う施術のうち、幹細胞を実際に使うものは、国(厚生労働省・地方厚生局)への届出が法律で義務づけられている。
- ●届出された再生医療等提供計画は、厚生労働省の「e-再生医療」サイトで誰でも検索・確認できる。
- ●ただし、幹細胞培養上清液・エクソソーム等(細胞そのものを含まないもの)はこの制度の対象外。一覧に載っていないことが、直ちに問題があることを意味するわけではない。
30秒で分かる結論
この記事の位置づけ
これまでの記事で、エクソソーム治療が再生医療等安全性確保法の対象外であることを整理しました。では、「対象内」の再生医療等(実際に幹細胞そのものを使う治療)については、患者はどうやって「ちゃんと届出されているか」を確認できるのでしょうか。この記事は、具体的な確認手順を示す実用ガイドです。
分かっていること:届出済みの提供計画は、公的サイトで検索できる
結論から言うと、再生医療等安全性確保法に基づいて届出された提供計画は、厚生労働省が運営する「e-再生医療」というサイトで、誰でも検索・確認できます。
要点:再生医療等安全性確保法に基づいて届出された提供計画は、厚生労働省が運営する「e-再生医療」というサイトで、誰でも検索・確認できます。
再生医療等は、リスクの高さに応じて3段階に分類されます。
| 区分 | リスク | 具体例 | 審査する委員会 |
|---|---|---|---|
| 第一種 | 高リスク | ES細胞・iPS細胞、他人の幹細胞を使うもの | 特定認定再生医療等委員会 |
| 第二種 | 中リスク | 患者自身の体性幹細胞などを使うもの | 特定認定再生医療等委員会 |
| 第三種 | 大きなリスクは想定されない | 加工を施した体性細胞を使うもの | 認定再生医療等委員会 |
再生医療等安全性確保法が定める3つのリスク区分をまとめた表です(本メディア編集部作成、厚生労働省資料をもとに構成)。どの区分であっても、提供計画を厚生労働省または地方厚生局へ届け出ることが法律で義務づけられており、第一種・第二種は「特定認定再生医療等委員会」、第三種は「認定再生医療等委員会」という専門委員会の意見を聞いた上で届出する仕組みになっています。「e-再生医療」サイト内の「届出された再生医療等提供計画の一覧」ページで、施設名や地域から検索できます。
実際に日本国内で届出された、脊髄損傷を対象とした再生医療等提供計画を分析した図です(Ukon, Hakui, Hosoya et al., Regenerative Therapy, 2026, CC BY)。細胞の由来(脂肪組織由来68%・骨髄由来32%)、投与経路、培養期間、価格帯(平均約14,100米ドル)などが、届出データを分析することで明らかになることを示す実例です。このように、届出データは検索できるだけでなく、研究者による分析対象にもなっています。
まだ確定していないこと:一覧に載っていても、それが治療の「効果」を保証するわけではない
結論から言うと、届出されていることは「安全性確保の手続きを踏んでいる」という意味であり、その治療に「効果がある」ことを国が保証しているわけではありません。
要点:届出されていることは「安全性確保の手続きを踏んでいる」という意味であり、その治療に「効果がある」ことを国が保証しているわけではありません。
再生医療等安全性確保法は、あくまで安全性の確保を目的とした法律です。届出の過程で審査されるのはリスク管理体制であり、有効性そのものを審査する仕組みではありません。「届出済みだから効果も保証されている」と考えるのは誤解であり、届出の有無と効果のエビデンスの強さは、別の軸として確認する必要があります。
分かっていないこと:エクソソーム・培養上清液はそもそもこの制度の対象外
結論から言うと、幹細胞培養上清液・エクソソーム等は「細胞」そのものを含まないという理由で、この届出制度の対象外です。この一覧で検索しても出てこないのが「正常」な状態です。
要点:幹細胞培養上清液・エクソソーム等は「細胞」そのものを含まないという理由で、この届出制度の対象外です。
これはエクソソームの規制上の位置づけに関する記事で詳しく整理した通りです。「再生医療等提供機関の一覧に載っていない=違法」ではなく、「そもそも制度の対象外」という場合があることに注意してください。クリニックに確認する際は、「幹細胞そのものを使う治療なのか(届出制度の対象)」「培養上清液・エクソソームなのか(対象外)」を区別した上で、前者であれば届出の有無を、後者であればエクソソームの規制上の位置づけに関する記事を参考に確認するのが適切です。
この記事を読んだあなたが次にできること
現時点でより強いエビデンスがある代替・比較対象
- ›施術を検討する前に、まず「e-再生医療」サイトで施設名を検索し、該当する提供計画が届出されているかを確認する。
検討する場合に医師・クリニックへ確認すべきこと
- ›この施術は、幹細胞そのものを使う治療(届出制度の対象)か、培養上清液・エクソソーム(対象外)か。
- ›届出制度の対象である場合、第一種・第二種・第三種のどの区分に該当するか。
- ›届出番号や提供計画の詳細を、施設側から開示してもらえるか。
エビデンスが固まるまでの見通し
制度自体は既に運用されており、確認方法はすぐに実行できる。培養上清液・エクソソームを含めた規制の見直し(エクソソームの規制上の位置づけに関する記事参照)が進めば、この確認方法の対象範囲も将来的に広がる可能性がある。
参考文献
- Ukon, Y., Hakui, S., Hosoya, K. et al. Unapproved regenerative medicine for spinal cord injury in Japan. Regenerative Therapy, 2026. PMC13226842
- 再生医療等提供計画の提出等について(概要). 厚生労働省
- 届出された再生医療等提供計画の一覧. e-再生医療(厚生労働省)
- 再生医療の分類、第一種・第二種・第三種とは、どのような違いがありますか? 再生医療ポータル
- 提供機関をさがす. 再生医療ポータル
よくある質問
Q.クリニックが『再生医療等提供計画を届出済み』と言っていますが、本当か確認できますか?+
A.はい。厚生労働省が運営する「e-再生医療」というサイト内に、届出された再生医療等提供計画の一覧が公開されています。ここで施設名や治療内容を検索すれば、実際に届出されているかどうかを確認できます。
Q.エクソソーム点滴や幹細胞培養上清液も、この一覧で確認できますか?+
A.いいえ。エクソソームの規制上の位置づけに関する記事で整理した通り、幹細胞培養上清液・エクソソーム等は「細胞」そのものを含まないため、再生医療等安全性確保法の届出対象外です。この一覧に載っていないからといって違法というわけではなく、そもそも制度の対象外である点に注意が必要です。
Q.第一種・第二種・第三種の違いは何ですか?+
A.リスクの高さによる分類です。第一種はES細胞・iPS細胞や他人の幹細胞を使うなど最もリスクが高いもの、第二種は患者自身の体性幹細胞などを使う中リスクのもの、第三種は加工を施した体性細胞を使い大きなリスクは想定されないもの、とされています。いずれの区分でも国への届出は必須です。